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--------------広島eマガジン VOL.1156 11.3--------------
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NZ発・吉岡春奈レポート
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・「天職」だから、動くと風が起こる
・「天才や名人は、自分が好きなことを飽きることなくやってきた
人のことである」
・「生きるとは、自分を最大限に表現すること」
感動プロデューサー・平野秀典氏「感動力/あなたの人生に
「ドラマ」を生み出す7つの魔法より」より
本日、午後から山口に行き、平野秀典氏ほかの講演を聞いて
きます。
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NZ発・吉岡春奈レポート
「Tomorrow
will be the same, but not as like
this」(後編)
(3)祥子とストッキング
夜行バス専用降り口から出てきた祥子は、
灰色の空を見るとチッと舌打ちして、首をぐるぐる回した。
朝の空だというのに、風船に穴を開けると、黒い墨が今にも洩れ
てきそうだ。
着慣れないスーツには所々皺が寄り、
ストッキングが肌を摩擦し無意識に足を掻いた。
昨夜バスに乗った時、一眠りすれば新宿に着くから早く寝ようと
したが、体全体が鈍い疲労感を覚えている割りに寝つかれない。
就職活動と言っても、大学生とは名のつくばかりで常に他人の
思想や言論の受け売りをしているのに飽き足りない祥子には、
面接もうまくいくわけがない。
高速を走るバスの中は比較的静かで、その下にあるエンジンの
凄まじい回転や、タイヤとアスファルトの生み出す巨大な熱など
誰もが無視している。
毎分四千三百回転、時速120キロ。
窓から見える闇は一定の間隔でうごめき続けている。
自分の体もこのバスと同じで、色々な思想や物事を乗せたり降
ろしたりしているが、止まってみれば唯の箱で、それ自体に何の
意味も無いように思える。
優しい両親や恋人、良い成績など、私には沢山の`幸福`が満ち
ているように思えるが、それでもやはり、虚無はそこにあるのだ
った。
ああ虚しい、虚しいと思いながら祥子は小さなトイレの中でストッ
キングを履いた。
朝食をとる為、マクドナルドの看板を探そうと停車場のわきに出
た時、祥子はショーインドーの脇に頭の禿げた乞食の男が小さ
く蹲り寝ているのを左目の隅に見たが、それがきっかけで店の
中にある上等な馬の皮でこしらえたブーツに気がついた。
祥子はブーツを見たくなって、乞食を上手く避けてそれに近づい
た。
「こんな細い足の女って、腹が立つわね。」
祥子は最近過食であるにせよ、ふとガラスに映った自分の冴え
ない姿形を見ると
途端にガラスの中の全てが土人形に姿を変えた。
すると横に蹲っていた乞食が大きくため息をついたから、
たちまち祥子は縛られた縄がとけたかのように駆け出し、
スーツを着た人々の行列の隙間にとけ込み、あっという間に見
えなくなった。
(4)空想へのエスケープ
ショーインドーの中のブーツには、今が何時だろうと関係ない。
彼女はとにかく疲労しきっていた。このガラスの世界にうんざり
していたのだ。
彼女の頭の中では、空想がある光景を描いている。
黒くて乾燥した平野の上を、赤いくちばしのカラスがオレンジに
焼けただれた夕暮れに二つ、対角線を引いていく。
二つに割れた空の先に無数にある、フラッフィーな綿飴のような
雲の縮れはその中に潜む、星の欠片を必死に隠そうとするが、
徒労に終わるだろう。
その下にある深いワイン畑の奥の方には、
コバルトブルーと翡翠を混ぜ込んだような色の大河が見える。
その下流には昨日見たあの乞食のように大きな目を持つ魚が
あたしを待っている。
ああ、誰かあたしをそこに沈めて、沈めて、沈めて…
店員の小山君は、狭い休憩室で机に足を投げ煙草をぷかぷか
吸いながら、読み終わったばかりの本の一説を口の中でつぶ
やいた。
Tomorrow
will be the same, but not as like this.*
[注]
* Colin
McCAHON
『Tomorrow will be the same but not as like
this...1959』
の絵を参考
●吉岡 春奈●
NZで日本語教師の助手をしている。
1ヶ月後に帰国予定。山口県立大3年
haruna36@paradise.net.nz
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船崎賀秀 GASHU
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